講座集 / LECTURESシステム設計技術08

Ph.6 要件定義

現場導入のための要件定義

ベンダー伝達+現場導入の両立

Ch.1「ベンダーに正確に伝える技術」(機能要件・非機能要件・ユースケース・RFP)と、Ch.2「現場導入のための要件定義」(CRUD図・ステータス遷移・操作可能期間・ROIフェーズ分け・AI非機能要件)を扱う。

現場導入のための要件定義

─ ARTICLE COVER

システム設計技術Ph.6 要件定義

§I ─ POSITION

この講座の立ち位置

Ph.6「要件定義」。提案後の合意フェーズで、ベンダーに「作れるレベル」で伝え、同時に現場が「使えるレベル」になるかを担保する。

§II ─ TAKEAWAYS

習得できるスキル

  1. 01

    機能要件=TOBEだと認識した上で、抜け漏れを潰す俯瞰ツールを使える

  2. 02

    CRUD図・ステータス遷移・操作可能期間で「境界の要件」を全部書ける

  3. 03

    AI組み込み時の非機能要件(精度・説明責任・例外時の人間判断)を要件として書ける

§III ─ EXCERPT

本編から抜粋

01

Ch.1 ベンダーに正確に伝える

RFP・要件定義書の書き方。機能要件は「ユースケース×CRUD」で表現し、非機能要件は「性能・可用性・セキュリティ・運用」を漏らさない。曖昧な日本語表現を避け、「Yes/Noで判定できる粒度」まで分解する。

02

Ch.2 現場導入のための要件定義

ベンダー視点だけで書くと、現場で「こんなはずじゃなかった」が起きる。これを防ぐ俯瞰ツールが3つ。

  • CRUD図 — 各画面で誰がC/R/U/Dできるかをマトリクス化
  • ステータス遷移図 — 業務フロー上の状態と遷移条件を全部洗う
  • 操作可能期間 — 締め後/月次後/年度跨ぎでの操作可否

03

「機能要件=TOBE」の罠

「機能要件」と聞くと画面と項目を書きがちだが、機能要件はTOBE業務フローそのもの。画面・項目はTOBEを実装する手段でしかない。TOBEから逃げて「画面イメージ」を作り始めると、現場で「使えない」が起きる。要件定義の出発点は常にTOBE業務フロー。

04

AI組み込み時の非機能要件

AI機能は「動けば良い」では済まない。次の4点を要件として明文化する。曖昧なまま走ると、運用後に「精度が低い」「説明できない」で業務が止まる。

  • 精度の許容範囲(適合率・再現率・誤検知時の業務影響)
  • 誤判定時の業務フロー(人間判断への戻し経路を必ず描く)
  • 説明責任(なぜその判断になったかを業務担当者に示せるか)
  • 再学習サイクル(モデル更新の頻度/検証フロー/ロールバック条件)

05

ROIフェーズ分け

要件を全部一気に作るとROIが悪い。パレート観点で「効くもの上位2割」を Phase 1、残りを Phase 2 に分ける。Phase 1の効果検証→Phase 2の優先順位再考、という順で進めると、現場合意も取りやすい。

06

現場で頻発する3大忘却

実プロジェクトで「要件定義の最終レビュー時に必ず通読」している抜け漏れカタログから、特に頻発する3つ。これを書いていないと、本稼働後に必ず炎上する。

  • マスタメンテナンス機能 — 「仕入先マスタが追加できない」「商品マスタの更新は誰が?」が本稼働後に問題化。各マスタについて誰が/どんな画面で/C・U・Dできるかを要件に書く
  • データ移行要件 — 本稼働直前に「過去データはどうする?」でリリース延期。移行対象一覧/いつ・どうやって・誰が/検証期間(最低1週間)を要件に
  • 印刷・帳票出力 — 本稼働後に「監査用にA4で出したい」「請求書フォーマットで」が要求。画面操作のみ想定せず、紙ベース業務まで想像する

07

「正常系」だけ書く罠と、3つの異常系

機能要件を書くとき、「うまくいくケース」だけ想像してしまうのが最頻出失敗。各機能要件には必ず3つの異常系を考えてユースケースの Alternative Flow を書く。

  • 入力エラー(不正値/必須未入力/フォーマット違反)
  • システムエラー(外部API断/DB障害/タイムアウト)
  • 業務上の異常(権限不足/同時実行衝突/状態遷移違反)

08

性能・ピーク・ログを数値化する

非機能要件を「サクサク動く」「快適に」など定性で書くと、本稼働後に「遅すぎて使えない」が起きる。次は必ず数値化する。

  • 性能:主要機能ごとに「○秒以内」を定義/ピーク時の同時アクセス数/バッチ完了時刻
  • ピーク負荷:月初・月末・繁忙期に集中する業務を明記し、平均ではなくピーク(3倍負荷)で設計
  • ログ・監査証跡:何の操作をログに残すか/保存期間(業界規制で7年など)/改ざん防止
  • バックアップ:頻度(日次/週次)/RTO(復旧目標時間)/RPO(復旧目標時点)
─── 続きはダウンロード版へ ───

§∞ ─ DOWNLOAD

続きの資料・演習・解答は
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─ EXERCISE

要件抜け漏れの典型事例集(カテゴリーA機能要件・B非機能要件・C運用要件で組織化、症状/根本原因/予防策/回復策の4要素)と、演習+テストを収録。アジカ食品の発注書自動化を題材に、要件定義書を書き、抜け漏れを採点する。

解説スライド

本編全コマ

チートシート

現場で使う早見表

演習問題

解答・採点付き

応用編/テスト

実技+ルーブリック

INCLUDED PDFS ─ 7

株式会社IPLoT | 現場の業務 × AI で、意志を実装する。